木造駅舎の証言第45回根府川駅

摘要

東海道本線は小田原から真鶴まで、相模湾の海沿いを走る。根府川駅はその中ほどにあり、海岸から立ち上がる急な斜面に建っている。ホームと駅舎に高低差があるため、跨線橋の階段をのぼって駅舎に向かう。振り返れば、跨線橋と海のコントラストが美しい。斜面をほぼ垂直に削った擁壁の石は、駅周辺で採れる根府川石、本小松石と思われる。箱根が噴火した際に溶岩が固まった石で、根府川石は石碑、本小松石は高級墓石として古くから採掘されてきた。江戸城の石垣、横須賀の海軍ドックに使われたことでも知られる。採掘場所が港に近く、海運の便も良かったからだろう。