シカと犬の音声を利用して鉄道車両とシ力との接触を防止する

摘要

近年の急速なシカの増加と生息域の拡大によって、生態系、農林業等に深刻な被害が及んでいる。鉄道においても、シカとの接触事故が増え、鉄道事業者の大きな負担になっている。各事業者はこれまでの経験に基づき、様々な対策を行っているが、事故件数の減少には至っていない。野生動物と自動車の事故は以前から「ロードキル問題」として動物学者の研究対象になっているが、鉄道に関する研究事例は少ない。鉄道車両とシカとの接触を防ぐためにはまずその実態を知る必要があると考え、線路付近でのシカの行動観察を行った。更に、接触防止のためにはシカを線路から遠ざけることが重要だと考え、シカの声を利用する方法を考案し、その効果について検証したので報告する。