米代川流域で発見された十和田火山AD 915噴火後のラハール堆積物と埋没建物

摘要

十和田カルデラで生じた最新の噴火は，自然科学的な調査および『扶桑略記』の記述に基づきAD 915に生じたとされる(Hayakawa，1985 ；赤石ほか，2000 ；町田·新井，2003；工藤·佐々木，2007).この噴火は，日本列島で過去2,000年間に生じた噴火としては最大級で(早川·小山，1998)，周辺に降灰をもたらすとともに，カルデラ南部では火砕流が発生した(大池.1972).また，カルデラ周辺を集水域とする河川が流入する平野·盆地では，ラハール(火山泥流)が生じたことが明らかになっている(藤原，1960；平山·市川，1966；内藤，1966；高橋，2006).とりわけ，毛馬内火砕流が流下した米代川流域では大規模なラハールが発生し，それによって埋没した複数の家屋が見つかっている(秋田県教育委員会，1970；赤石，1999).