岩木川下流部における縄文海進高頂期の埋没林

摘要

過去の森林がそのまま埋没して残存した「埋没林」は，古環境の復元には極めて重要な資料であり(辻，2007)，沖積低地の形成史を検討する上でも重要な研究対象とされている(小野ほか，2007).津軽平野では，つがる市出来島海岸の海食崖に露出する泥炭層中に後期©折世の埋没林が見いだされ，当時はアカエゾマツやグイマツの針葉樹林帯であったことが示された(辻，2001).また，岩木川下流部の鶴田町の鶴寿橋，板柳町の幡龍橋付近の現河床では，弥生時代の埋没林が報告され，植生に関する資料の蓄積と(多田·大矢，1975 ；Tsuji et ai,1990)，それを用いた地形発達の検討が行われた(海津，1974).