軸力と等曲げモーメントを受ける上フランジ補剛H形鋼梁の弾塑性横座屈応力度評価

摘要

H-shaped beams connected to steel dampers are subjected to the compressive and tensile forces in addition to the flexural moment, and then the buckling behavior of H-shaped beams under axial force and flexural moment is more unstable than that under only flexural moment. The previous studies clarified the local buckling behavior of H-shaped beams, and the maximum strength and the plastic deformation capacity of the beams are evaluated. In this paper, the lateral buckling behavior for H-shaped beams with the lateral bracing under flexural moment and axial force is clarified, and the lateral buckling stress is evaluated by the equivalent slenderness ratio.%鋼構造ラーメン骨組にブレース型ダンパーが取り付く制振鋼構造では，図1のようにダンパー軸力の水平成分が梁に軸力として作用する。実際の制振鋼構造骨組の調査結果では，座屈拘束プレースから梁に作用する軸力は，その多くが梁の降伏軸力の10～20%程度となっているものの，30%以上になる事例もある。また，既往の制振鋼構造の設計マニュアル等でも梁の作用軸力は降伏軸力の30%程度に達する事例も見られた。特にエレべータシャフト回り等の制振構面に床スラブが無い梁ではダンパーからの軸力を梁で負担することになる。ダンパーは圧縮，引張に関わらず塑性化後も耐力を保持しつつ，梁には塑性ヒンジが形成されることから，骨組の大変形時には梁に大きな軸力と曲げモーメントが同時に作用することになる。そこで，文献4)では，このような軸力と曲げモーメントを受けるH形鋼梁の局部座屈挙動を明らかにし，梁の降伏軸力の30%程度の圧縮軸力が作用した場合，従来の幅厚比規定で要求される耐力ゃ塑性変形能力を確保できないことを明らかにした。局部座屈の場合と同様，このような応力状態における梁では軸力により横座屈耐力も低下することから，従来の細長比指標で耐力を評価することは難しい。