南海トラフ沿いの巨大地震による設計用長周期地震動に対する地震応答スぺクトルの周期特性を考慮した減衰補正式の提案: 国土交通省より公表された簡略化スぺクトルおよび波形例を対象とした検討

摘要

本論では，公表波に対し，設計用地震応答スぺクトルの周期特性を考慮した新たな減衰補正式の提案を行った。さらに，免震建物を想定した1質点系モデルによる時刻歴応答解析との比較から提案式の適用性を検証した。以下に結論をまとめる。1. 公表波のスぺクトル形状に基づき定めた減衰補正式（提案式）は，地震動ごとの回帰係数を与えることにより減衰による応答の低減を適切に評価できることを示した2. 公表波に対し，告示式を用いた場合の予測値では，時刻歴応答解析に対し1.5倍以上応答を大きく評価するケースが多く確認されたが，提案式を用いた場合ではそのようなケースは減少し，時刻歴応答解析結果と良好な対応を示す結果となった。3. 地盤増幅を考慮した場合の予測値については地盤増幅率の影響により時刻歴応答解析に対しやや安全側の評価となった。しかし，告示式を用いた予測値と比較をすると応答予測の精度については改善されることが確認された。4. 正弦波合成法により作成された，観測データに基づく建設地のサイト特性を考慮した基整促波に対しても，本論で提案する手法により適切に応答低減率を評価できることが確認された。%In June 2016, MLIT has announced a countermeasure against the Nankai trough long period ground motions. However, the response spectrum method, indicated by the Ministry of Construction notification Vol. 2009, is out of the countermeasure, because this method was considered to be difficult to reflect the influence by long period ground motions. Therefore, in this study, the damping correction formula for long period ground motions, which considers periodic characteristics of the design earthquake response spectra, was proposed. Moreover, the applicability for the seismic isolation buildings was verified by comparing with the results by the time history analysis using SDOF models.