荒天錨泊時の係留力の実験的検証

摘要

荒天錨泊中の船舶が走錨することにより防波堤や 浅瀬に乗揚げて損壊し、多くの貴い命が失われる事 故が絶えない。古くは青函連絡船洞爺丸の海難事故 がその－つであり、昨今では、平成15年の石狩新港 における貨物船、平成18年鹿島港外における大型鉱 石運搬船の走錨事故があり、いずれも多くの犠牲者 が発生した。しかし、荒天錨泊中に作用する係留力 のメカニズムは複雑で、その推定は容易ではない。 アンカー、チェーンなどの係留装置の設計に際して は、船休上部構造物の風圧側面積などを重点的に膳 装数という形で係留装置の設計基準が確立されてい るが、これに波漂流力を考慮したとしてもなお十分 でない可能性がある。