日本インフラの「強み」と「オリジナリティ」はどこに？: 求められる将来に向けた『進化』[第5回∣No.4]再興なるかシールド先進国ニツボン

摘要

シールド工法が国内で初めて採用されておよそ100年。日本のシールド技術は、わが国特有の国土事情やその時々の社会情勢に適応しながら独自の発展を遂げてきた。その技術水準、施工実績は今もなお最高レベルにあるといわれ、例えば泥土圧シールド工法は日本で考案されたものが海外へ輸出され、いまや世界的に見ても代表的工法としての地位を確立している。しかしながら、今日のグローバルなィンフラ市場において、日本の技術がそのレベルに見合つたプレゼンス(新技術の展開、学会等における発言権など)を得ているかといえば、それには程遠いのが現実であろう。老舗の欧米メーカーが世界各地で幅を利かせ、中国などの新興勢力がコスト競爭力にモノをいわせて急速にシェァを伸ばしている。少子高齢化が進む中、わが国の成長戦略として海外の旺盛なィンフラ需要を取り込む動きが加速している。ことシールド分野においてもこの動きに乗り遅れないためには、技術の良しあしのような二元論ではなく、多角的な視点から背景を整理し戦略を練る必要がある。