OZTを用いた避航操船スキルの評価について

摘要

航海士に必要不可欠なスキルの一つに避航操船がある.安全を担保しつつ効率の良い避航操船を実現するためには，船の操縦性能，自然環境，交通環境，関連法規など様々なことを考慮しなければならない.特に，船舶交通が輻輳し，複数の他船と絡み合うような状況下での避航操船は非常に複雑かつ難解である.実際の船舶運航では，航海士が長年の経験で培ったグッドシーマンシップをもとに他船との衝突を避けている.一方，現在，海事教育機関で行っている避航操船に係る訓練では，専門知識や経験が豊富なインストラクターが避航操船の良し悪しについて評価をしている.この評価はマニュアルを用いてある程度標準化された評価シートを用いているが，インストラクターの主観が入り込hでしまう部分もある.インストラクターによる評価はグッドシーマンシップに即したものであり，非常に信頼できるものではあるが，より多角的に客観性を持った評価指標(モノサシ)を策定するためには，何らかの方法で避航操船スキルの可視化を図り，誰が評価しても同じ結果となるような評価手法を構築する必要がある.そこで今回は，情報解析や行動決定に非常に有効な支援ツールであるOZT(1)を避航操船スキルの可視化および評価に利用することについて検討した.