自治体による暑熱環境適応の取り組み（大阪市）

摘要

2004年，国の「ヒートアイランド対策大綱」が策定され，都市の気温が上昇するヒートアイランド（HI)現象を防止する対策（緩和策），すなわち都市構造や人工排熱の低減など，中長期的な施策が示されたのを機に，地方自治体でも，HI対策推進計画や温暖化対策計画に盛り込む形で，それぞれに目標を設定するなどして，着実に施策を実行してきた.しかしながら，猛暑日や熟帯夜日数の増加といった高温化の傾向が続き，熱中症の発生などの健康リスクが高まり，これまでの対策のみでは，目前のリスクを回避できない現状が横たわつている.2013年，国の大綱が見直され，ヒートアイランド現象が生じた場合でも人への影響を軽減する対策（適応策）の推進も重要であるとされた.また，地方自治体においても，それまでの対策推進計画の見直しを機に，「暑熱環境適応」を盛り込むなど，適応策に重点が置かれるようになつてきた.