多端子洋上直流送電システム構成と系統解析技術

摘要

東京電力ホールディングス（株）（以下，東電HD), A社 およびB社では，平成27年度（2015年度）から国立研究 開発法人新エネルギー•産業技術総合開発機構（NEDO) からの委託事業「次世代洋上直流送電システム開発事業」 を受託している。これまでヨーロッパで実現されている直 流連系方式の洋上ウィンドファームは，同ーメーカから供 給される二つの交直変換所を直流ケーブルで接続する Point-to-Point方式であった。これに対し，本事業では. 洋上風力のポテンシャルの高い複数のウィンドファームと 陸上の複数のポイントを接続することで，供給信頼度の面 で有効である多端子直流送電システムを想定している。ま た，本事業では.コストダウン効果を高めることや多端子 直流送電システムが順次拡張される性質のものであること を念頭に.異メーカの交直変換器の協調運転を可能にする 方式について異メーカの解析モデルを組み合わせた系統解 析モデルにて有効性の検証に挑んでいる。現在.ヨーロッ パでも，本事業と同軸で進行しているBest Pathsと PROMOTioNの2件のプロジェクトがあり，Best Paths は, 再生可能エネルギー接続に向けた革新的送電システム の統合•運用ソリューションを大規模に検証するもので， 複数の送電会社が異なる提案で参加している。もう一つの PROMOTioNは，洋上直流送電システムで鍵となる保護 方式の開発や直流遮断器等の技術開発を行っている。いず れも，本事業と関連性の強い開発内容になっているが，本 事業では.我が国の直流送電技術の国際的な競争力を維持 するため.産学官連携でのオールジャパン体制での技術開 癸の推進を進めている。本稿では.本事業で検証している 多端子洋上直流送電システムの概要.検証に使用している 解析ツール，解析例について述べる。