音場におけるグリーン関数と積分方程式

摘要

インパルス応答はあるシステム（系）における入力と出力の関係を時間領域において表すものである。システムを音響伝達系すなわち何等かの音場としたとき，その音場における音波の挙動を数式により表現できるならば，インパルス応答も数式によりモデル化できるはずである。音場の支配方程式である波動方程式の周波数領域での表現であるヘルムホルツ方程式はある種の境界条件に対して解析的に解くことができ，その際に2点間の音波の伝搬のしかたを表すグリーン関数と呼ばれる関数が現れる。特に自由音場に対するヘルムホルツ方程式の解としてのグリーン関数は主要解あるいは基本解と呼ばれ，音響問題を扱う様々な局面で利用される。