海底マッピングにおける海洋音響技術

摘要

いわゆる地図の製作作業であるマッビングは，古くは江戸時代に伊能忠敬によって行われた日本地図の作成などが有名である。日本列島を紙の上に正確に記載したこの地図は，地形を正しく縮小しつつ，山や川の位置を分かり易く記載したようで，当時の人々を大いに驚かせた。当時は実際に現地を歩きながら測量する方法であったため，完成までに約16年を要する難作業であった。このように現地に出向いて測量する方法は，現在でも道路や建物を作る前に，局所的にマッピングするために用いられる。近年は航空機や人工衛星からレーダ及びカメラを用いて計測するリモートセンシングが発達し，また地球上での絶対位置を知ることができるGlobal Positioning System (GPS)の普及により，上空から山や川の位置や高さを1 m単位で，かつ広範囲を素早く計測できるようになった。特にカメラ画像を処理して対象を立体化するマルチビューステレオ技術(MVS)などの発達により，ドローンや航空機から撮影した写真を用いて地表面を立体化することも可能となった。旅行に行く前にGoogle Map上で現地の風景を確認された読者の方々も多いのではないだろうか。