大学と学問の自由－地方国立大学の立場から

摘要

国立大学法人化に伴う基礎研究における劇的な研究費縮減は，国立大学における学問の自由を侵害している．学問の自由から導かれる大学の自治権の中心は，歴史的には教員の人事権および国家権力による支配からの身分（tenure；テニュア）保障であった．しかし，現在，大学自治の根幹は財政自主権にあり，とりわけ地方国立大学の基礎研究分野の教員は最低研究費の請求権を主張しなければならない状況にある．