日米戦争期日本の政治体制: 戦争指導体制の実際を中心にして

摘要

総力戦として戦われるはずであった日米戦争において，日本の支配体制の一元化は諸支配層が共有すべき目標であったしかし，実際の政治過程において，一元化ではなく多元化の様相を呈していく．日米開戦以降，その矛盾を克服する動きが見られはしたが，統帥権独立制などが足棚となり，その課題克服に失敗する．要するに，日米戦争期の支配体制は，多元化のなかで混乱と矛盾をはらんだまま推移していた．