韓屋におけるチェとマダンのつながりに対応した住生活の特徴に関する一考察: 韓国現代文学作品『庭の深い家』を対象として

摘要

韓国では、木造建築文化を基軸として地域に根ざした木造住宅「韓屋」が存在してきた。一般的に、高麗時代から李朝時代(918-1910年)の貴族住宅が伝統韓屋、1930年代から1960年代にかけて都市の中産層向けに供給された都会型住宅が都市韓屋と呼ばれる。伝統韓屋では、複数のチェ(住棟、以下、「チェ」と記す)とそれに属した複数のマダン(庭、以下、「マダン」と記す)がー体となって一つの住宅が形成され、内外部空間のつながりを大事にして豊かな居住文化が醸成されてきた。一方、「チェとマダンがつながった空間の相互関係」は、伝統韓屋の重要な空間構成要素として少なからず指摘されてきたが、チェとマダンのつながりに対応した「住生活」については十分に検討されていない。