建築物の言語描写における＜光>の多態性1950〜2011年の「新建築」誌を対象として

摘要

外界に人の活動を内包する空間を生み出す建築物において，光は空間を構成するための初源的な要素である。そのため，光は常に建築の設計に関わる条件であり，設計とは光の空間を創出する行為ともいえる。例えば，人は古くから太陽による自然光を主として，入射や反射，拡散といった現象から，空間に明るさを生み出し，室内環境を調整するものとして光を扱ってきた。しかし，近代以降では，電球の発明による人工的な新たな明るさや，ガラスの大量生産，構造の自由化といった技術革新により，それまで受動的に捉えられてきた光をより能動的に扱うことが可能になり，空間演出のような表現や光自体に意味をもたせる抽象的な概念といった実体にとらわれない新たな光の解釈が生まれている。