左官技術を利用したシェル構造ユニットによる災害仮設住宅の建設技術開発　莫大棟建設と倒壊実験

摘要

After a disaster, it is needed to provide large amount of temporary houses promptly for people who lose their own houses. In this paper, a housing construction technique that is suitable for Japanese historical surroundings is proposed. It is making use of the Japanese plaster technique inherited for hundreds years. And the frame of this system is the shell structure that is one of the most efficient structural system, therefore, it can be built with very little amount of material.%薄肉楕円体のシェル構造と左官技術を利用した災害仮設住宅に関するユニークな報告である。本構造物の特長は，塩ビ樹脂をコーチイングしたポリエステル繊維織物で作った空気膜型枠を採用している点である。持ち運びや，型枠の解体に便利なシステムである。この空気膜型枠の上に，天然水硬怪石灰と砂と水を混ぜた漆喰で左官仕上げを行っている。床は土，石灰，にがりを混ぜた三和土，内壁はモルタル下地であり，湿式仕上げへのこだわりが嬉しい。また，開口部にリブ型枠ユニットを取付けている。施工性の向上とシェルの急激な倒壊を止める役割を果たしている。本報告中の今後の課題に，シェルや開口部に断熱層がなく，壁の材厚も薄いため，断熱性が期待できないとしている。しかし今後の更なる改良により，断熱性は容易に克服できるものと考える。以上，実物大の実験棟を建設して多くの知見を得ている。薄肉楕円体のシェル構造と左官技術を利用した災害仮設住宅の今後の開発に期したい。