自由連結型可動家具による空間改変手法の研究．

摘要

面白い報告である。 連結する可動家具の端部を円弧形状にするという着想が，簡明にし て意外であり，しかし正鵠を射ていて，まさにコロンブスの卵ともい うべき発想である。 既往の研究・開発をレビューしつつ技術開発課題を設定していくプ ロセスは丹念で説得力がある。 また，単純簡明なエレメントで多様性実現の可能性を検討するプロ セスは緻密であり，ユークリッド幾何学には，建築の構成技術に応用 できる可能性がまだまだ秘められていることを教えてくれる。 ここまで報告の前半が論理的であると，後半部の著者の審美眼によ るやや主観も混じる評価や試作結果報告も読者としては許容してしま うし，ある意味では，それこそが論理と審美のハーモニーという建築 技術の本質なのだとも思う。 作りながら考えることこそが建築技術者の創造の源泉であるという， 昨今忘れられがちではあるが極めて重要な事実を気づかせてくれる， 理知的にして実際的な好感のもてる報告である。%A lot of "Variable Infill", such as movable partition walls and furniture, has been proposed as some of the main elements of "SI building". However, those are not always used effectively because of difficulties in move, capacities in storage, aesthetics in design, etc. In this study, I proposed variably connectable and movable partition furniture that has round shape in both ends. First, the basic sequence patterns by connection of the furniture were discussed by the analogy of the ball chain. Then, the effectiveness of the proposed furniture was confirmed by trial manufacture.