東京駅丸ノ内本屋戦災復興工事における木造小屋組

摘要

東京駅丸の内駅舎は現在保存・復原工事が進行しており，報告者は 丸ノ内本屋の木造小屋組の解体調査を実施している。当該小屋組は戦 災復興工事の際に設置されたものであり，戦前～当時に開発された短 小径木を接合して木造大スパンを構成する「新興木構造」の技術が採 用されている。現存する新興木構造は数少なく，これを詳細に解体調 査した記録はきわめて貴重なものである。報告では，解体によって当 時の高水準の技術内容を明らかにしているほか，国鉄が遺したものほ かの記録・文献の調査により，当該小屋組建設に係る時代背景，工事 状況，周辺技術，技術者の関与等についても言及している。これにより， 時代の要請に立脚した新興木構造という歴史的系譜の終点に当たる当 該小屋組の位置付けが実証されている。以後時代が進みこの高度技術 が一般に直接継承されていかなかったことは残念だが，こうした技術 発掘が今後の駅舎建築等に寄与されていくことを期待する。%On our site, I investigated wooden roof truss of Tokyo station that were built at war damage reconstruction. It became clear that the wooden roof truss is 'Modern wood truss' studied and developed in 1930-1945 age before and during World War II. In this paper, the form materials and the joining method of the wooden roof truss are made clear. In addition, it was clear about engineer who was concerned the wooden roof truss construction of Tokyo station.