山間地域における土地利用および日射環境が周辺の気温に及ぼす影響に関する研究　実測結果とGISを用いた分析

摘要

This study aims to explain the effect of land use and local insolation environment on surrounding air temperature in mountain area. In summer of 2008, we measured the thermal environment in Fukutomi town surrounded by mountains. The insolation environment was estimated by GIS based on the sun orbit. As a result, we confirmed the difference of air temperature variation both in the morning and evening because of the difference of insolation environment in each measurement point around. In addition, we found that not only land use but also diurnal insolation environment affects the air temperature at night.%本論文は山間地の小さな町を対象にして，その気温と気温形成に与 える影響を研究成果としてまとめている。気温と周辺の土地利用状況 との関連を明らかにし，地形によって異なる局所的な日射量が周辺の 気温に影響を及ぼしているとの結論を得ている。本Reviewにも見ら れるように，自然環境を積極的に都市環境に取り込む工夫がなされよ うとしている今日，本論文は貴重な知見を与えたものと評価できる。 土地利用に関してはGISを利用して，精度の高い分析を行っている。 自然環境においては樹木や草等，日射を遮る植物が地表と大気の間に 存在し，蒸散効果もあるためにグレートリーフセオリー等，何らかの 理論体系によって，熱平衡を分析することが多い。本論文においても 土地利用形態以外に日射の影響が大きいという結果を得ているが，こ うした熱平衡に原因があると推定される。環境工学の分野に重要な方 向性を示した論文であり，今後の継続的な研究の進展が望まれる。