軟弱地盤に建つ超高層RC造集合住宅の地震応答評価と被害との対応: 2011年東北地方太平洋沖地震時の強震記録に基づく検討

摘要

During the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake, strong motion wave observed at the 30-story reinforced concrete super high-rise building located on poor ground in the Kanto region. By response simulation analysis, a particular response behavior of the building during this earthquake were explored, and then the relationship between damage to building interior and response simulation analysis results were carried out.%本報告では,2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)での埼玉県草加市の軟弱地盤に建つ杭基礎30階建てRC造集合住宅の観測記録の分析と,シミュレーション解析を行っている。建設地は震央距離で417kmの位置にあり,いわゆる長周期地震動による超高層建物の揺れを分析し,将来の巨大海溝型地震での被害低減に繋げるために貴重な報告である。解析では軟弱地盤と杭基礎の相互作用を取り入れ,上部構造モデルの設定においては前震も含めて復元力特性を調整し,B1Fでの記録を入力動として良好なシミュレーシヨン結果を得ている。今後の耐震設計の向上に資するためにも,杭の支持層深さで観測された記録を用いて関東平野の長周期成分を主とする入力動による超高層の応答を説明できるのか,また観測結果との対応をみて調整,設定した上部構造の復元力特性と減衰モデルの知見を如何に設計時のモデル化に反映するか等について,更なる検討をお願いしたい。