設備振動を電力に変換するワイドバンド型振動発電技術の開発

摘要

センサ開発と無線通信の技術開発が日進月歩であるのに比べると，バッテリー(電源)に関する技術の進歩は極めて遅く，センサネットワークの普及を阻害する一つの要因となっている。本研究は，センサネットワークで用いるエネルギー·ハーヴェスティングとして，ダクトや設備機器を振動源とする環境振動を利用した振動発電に着目している。実際に振動発電デバイスを開発した上で，多点で室内の温湿度を計測するワイヤレス検証試験を実施しており，その適用可能性を示した内容は新規性と実用性に富んでいる。センサネットワークの構築において重要な課題に挑戦しており，今後の展開が期待される。ただし，これまでに人体による床振動や自動車による道路振動を利用した振動発電などが提案されているものの，いまだ技術的なブレイクスルーには至っていない状況を鑑みると，今回の開発過程で明らかになった問題点とその対応策についても記述してほしかった。%Vibration energy harvesting has been studied as a candidate for powering next generation wireless sensor networks. It is difficult to harness the actual vibration because the amplitude and frequency are not constant. The combination of a vibration generator and an amplification mechanism, achieved increasing the amount of generated power in a wide frequency range. By using the new vibration energy harvester, sufficient energy was harvested from micro-vibration of the air-conditioning ducts to supply a temperature and humidity sensor and a RF transmitter.