道路網形態のフラクタル次元と救急搬送に基づく実態圏域との相関: 千葉巿におけるケーススタディ

摘要

This study aimed to construct an evaluation technique by visualizing the existing area and setting of a road network by fractal dimension analysis to form the basis for road maintenance and improvement standards, and operating efficiency. As a criterion for protection of life, the initiation time of the treatment is considered an appraisal standard, and the numerical fractal value is shown to have a relationship with emergency medical transport.%本稿では，千葉市を分析対象地域とし，救急医療の救急搬送における実態圏域内の道路網を抽出し，域内の道路網のフラクタル次元に注目している。そして，このフラクタル次元と①交差点の数②実態圏域の面積③平均速度④道路総延長距離⑤人口数との関係性に関して考察している。これらにより，実空間におけるフラクタル次元解析手法の有効性を調査し，概略，下記の様に纏められている。1)フラクタル次元が高いほど，交差点の数，人口数ともに多くなる。2)フラクタル次元が高いほど，交差点の数が多くなり救急車両の平均速度は遅くなるが,救急医療における有効な搬送範囲である実態圏域は広がる。3)解析範囲として地図の縮尺(一律·相違)と形状(同心円·方形)の4つが異なる場合においても，道路網形態の多層構造を有するフラクタル性がある。ただ，表2のフラクタル次元の数値が5桁もあり，多少気になるところであるが，今後の研究の進展に期待している。