日本の建築学における失われた建築家像についての考察: 伊東忠太『法隆寺建築論』と岸田日出刀による『建築學者伊東忠太』「法隆寺建築論」を介して

摘要

この研究でとりあげる伊東忠太の『法隆寺建築論』は、rn西洋を良しとする流れにあった明治26年に、法隆寺の実 測、図面作成を行い、日本建築の歴史的価値を述べたも のである。一方の岸田日出刀は、昭和20年に『建築学者 伊東忠太』を記し、教え子の丹下健三 『MICHELANGERO頌』に代表される西洋建築への流れ に、一石を投じた。どちらの論文も西洋至上主義の日本 建築学の空洞化に疑問を持って書かれたものである。