長野県常盤村中部耕地整理組合における開墾地移住奨励制度の運用状況と移住家屋の実態: 長野県立歴史館所蔵清水家文書による検討

摘要

This study aims to research the system of promotion for settling in the reclaiming land of the Ministry of Agriculture and Forestry by the historical documents. The system was set up in 1920 and revised in 1926 and 1929. The government subsidized for settlers of building their houses. By the documents of Tokiwamura Chubu Cultivated Land readjustment corporation from 1923 to 1934, it submitted the plans, the specifications and the budgets and was inspected and conducted. After revising, the system worked more effective and standardized the dimensions, the costs and the plans of the settlers' houses.%大正中期から昭和戦前期にかけての住宅改良については，これまで都市住宅に関して多くの研究蓄積がある。ところが政策となると，大正10年施行の住宅組合法による住宅建設のための低利資金の融通か，大正13年設立の同潤会による良質な住宅の供給をあげられる程度で，本報告にあるような，住宅建設のための奨励金の交付や，住宅そのものに対しての行政の指導は見当たらない。開墾奨励に伴う農村の住宅改良が，都市住宅や企業による社宅供給に先んじて国策として行われていたことに驚きを隠せない。ところで，大正15年に農林省が移住家屋の懸賞設計を行ったことを指摘している力その設計図案が実際の住宅建設にどのように反映されたのか，残念ながら本稿では触れていない。併せて，北海道農友会が大正6年に農家家屋設計懸賞募集を行っているので，それとの関連も関心の持たれるところである。資料的に厳しいであろうが，今後の研究の進展に期待したい。