強磁性L1_0型規則合金ナノ粒子の原子的構造と相変態

摘要

近年，マルチメディアの発展により取り扱うデータ量が急激に増大し，情報ストレージ技術の中心的な役割を果たしているハードディスクドライブ(HDD)のさらなる大容量化が進んでいる(2012年時点で750 Gbit/inch~2).これは垂直磁気記録媒体の導入だけでなく，トンネル磁気抵抗(TMR)効果を利用した磁気へッドの開発をはじめ，関係する諸技術の飛躍的向上によるものである.90年代以降，高い結晶磁気異方性エネルギーを有し，磁化が熱的に安定な新しい磁気記録材料探索が進められてきた.その結果，L1_0型規則構造を有するFePt系規則合金が注目を集め，様々な手法によるナノ粒子組織形成をはじめ，磁気特性評価，規則相低温合成など多方面から研究がなされてきたこれは本合金系が現行の磁気記録媒体と比較して約3倍高い飽和磁化，1桁以上高い結晶磁気異方性エネルギーを有することから，極薄•極微小結晶粒サイズにおいても室温で強磁性が安定に保持されると考えられ多ためである(L1_0型規則合金ナノ粒子に関する研究動向の一端は文献(7)を参照されたい).