ポピユリズム(大衆迎合主義)と最近のEUの動き:なぜ民主主義の成熟した国でポピュリズムが多発するのか？

摘要

いくつかの先進国のポピュリズムを見てきたが、これを単に「極右」とレッテルを張って見ることは、間違いであると同時に、頭の思考を止めてしまう弊害がある。なぜなら、その発生の初期に「極右的な」主張をした党もあったが、詳細にみると、いずれも民主主義を否定せず、その枠内で、主張の実現を図ろうとしており、決してナチスの復活のような目だけで見てはいけないと思う。確かに共通の「反EU」の主張は、これまでの流れを覆す主張ではあるが、それ以外の主張点は、忘れられた人々の復活、既成政治への不満、移民問題が大きくなる中での自国政治への不安など、民衆の心のどこかに存在する不安にこたえているところがある。