セロビオース2-ェピメラーゼと類縁酵素群の構造と機能に関する研究

摘要

セロビオース2-ェピメラーゼ(CE)は，β-(1→4)-二糖の還元末端Glc残基をMan残基にェピメリ化する.(β-マンナンの代謝においてManβ-4ManからManβ-4Glcを生成し，加リン酸分解へと導くとされる.CEの利用によるラクトースからのエピラクトースの生産技術が整備され，エピラクトースにプレバイオテイクス効果など有益な生理機能が見出された.CEの構造は，触媒部位も含めてァシルグルコサミン2-ェピメラーゼ(AGE)やマンノースィソメラーゼ(Ml)などと類似し，AGEスーパーファミリーを形成する.(α/α)6バレルからなる触媒ドメインの8番目と12番目のα-ヘリックス上のHisが一般酸•塩基触媒として基質の2-Hの授受に働くcis-ェンジォレート中間体を経由したェピメリ化機構が提唱された.一方，Mlなどイソメラーゼでは，8番目のα-ヘリックス上のHisが一般酸•塩基触媒として基質の1-Cと2-Cの間でのプロトンの分子内転移を行う機構が考えられた.AGEスーパーファミリーからManをェピメリ化するマンノース2-ェピメラーゼが発見され，GlcからのManの生産への応用が期待された.