病院や大学のガバナンス

摘要

病院や大学での「ガバナンス」の重要性が叫ばれて久しい.しかし，この「ガバナンス」とは一体何なのであろうか？「ガバナンス」は，一般的には「内部統制」や「統治」と解釈され，これらの言葉からは組織の上層部からの指揮命令系統による管理強化を思い浮かべる.しかし，ラテン語の語源である"gurbernare"の「舵を取る」という文脈からは「指導する人物は船尾に静かに座して，めったに身動きしない」という意味となり，高圧的なものというよりはむしろ「ある集合体の船の舵を最小限に操作して進路を正確に保つ」という意味と解釈される(『株主を重視しない経営』，江川雅子，日本経済新聞出版社，2008).一方，医療関係外あるいは大学関係外の，経済界などから叫ばれる「ガバナンス」においては，「リーダーシップ論の一人歩き」がみられるように思う.