血小板減少なのに血栓リスク？抗リン脂質抗体関連血小板減少症

摘要

症例：42歳，女性.現病歴：橋本病で近医に通院中，血液検査で血小板減少を認めたため.他院血液内科を紹介受診した.levothyroxine以外の内服薬はなく，骨髄検査で巨核球の増加を認めたことから，特発性血小板減少性紫斑病と診断された.血小板数は5×10~4/μL程度を維持しており，出血傾向もないことから経過観察のガ針となったが，その後，血小板減少が2×10~4/μL以下まで進行し，紫斑の出現も認めたため，ステロイド治療が導入となった.PSL 50 mg/日が開始となり，血小板数は速やかに改善を認めた.PSLの漸減途中に，ふらつきおよび左手足の麻痺症状が出現し，他院の脳神経外科を受診した.診察時には症状は消失していたものの，一過性脳虚血発作の可能性が"定できないため，経過観察目的に入院となった.脳MRIでは多数の陳旧性ラクナ梗塞巣を認めた.入院時の血液検査でβ_2GPI依存性抗カルジオリピン抗体陽性が明らかとなったため.APSの疑いで当科転院となった.