水質モニタリングのためのイオンクロマトグラフィーの研究開発動向と展望（V)： —イオンクロマトグラフィーによる代表的なィ才ン性水質汚濁指標の分離計測法*—

摘要

種々な環境水の水質評価や環境材料の性能評価を可能にする水質モニタリング法としてのィォンクロマトグラフィー（Ion Chromatography: IC)の有用性とポテンシャルは，様々な研究報告，総説/解説，単行本等による数多くの技術情報だけでなく,様々な公定分析法への採用を通じて，国内外で広く公認されている。そこで，本解説では，これまでに著者らによるイオン交換分離力ラムの有する様々な分離機構（多機能分離機構：イオン交換，イオン排除，立体排除，吸着作用等の単独あるいは同時発現）を活用するICによる水質モニタリング技術の研究開発の成果を踏まえ，新たに開発した環境水の水質評価に係わる代表的なイオン性の水質汚濁指標（酸度，アル力リ度，水酸化物イオン，炭酸水素イオン，栄養塩）等の同時分離計測を可能にするIC技術の分離科学を各論的に概説すると共に，今後の発展が期待される溶離液として水だけを用いる簡便なICによる水質モニタリング法の今後を展望する。