鉄のログハウス

摘要

H型鋼(750×350×16×25/1,000×350×16 ×25)をただ井桁状に組み上げるだけで建 築全体を構成しているが、それは材料の原 資材性の保持を意味している。通常の建築 物のような材料使用の一回性が回避され、 例えばこの住宅での使用が終わった後も、 伝統的な社寺建築の"お下がり"のように、 他の建築物へと転用され得る。そのため全 てのH型鋼間の接合部はボルトによるドラ イジョイントとされていて、そのサッシュを兼 ねる高い精度は溶接等によらず、重ね合わ せ間のクリアランスに薄いフィラーを適宜挟 み込むことで確保された(H型鋼はその両端付 近でウェブ直行方向にリブを溶接することで仮想 的な「通しの十字柱」として機能している)。いわ ば、この建築は「鋼材がある期間たまたま住 宅の用をなしている状態」なのである。