すみだ北斎美術館

摘要

今年生誕二六〇年を迎える葛飾北斎。生涯のほとんどを墨田区で過ごしたと言われるが、敷地周辺は関東大震災後に整備されたため、当時の面影を残しているわけでもない。ぎゅうぎゅうにビルが並ぶ単調な風景の続く中、公園、高架、ビルに囲まれた特異な場所にすみだ北斎美術館が建っている。ここは美術作品を展示、保管する他、ヮークショップ等を通じて発信する地域活性の拠点としてつくられた。公園に面して建つ建物は、周辺と同スケールのヴオリュームが集まったような形態で、広場とシームレスに繋がっており、園内のオブジェクトのーつのようだ。四層に納められたヴオリュームが周辺への威圧感を減らし、アルミパネルで覆われた佇まいは周囲の景色をじんわり映し、環境に溶け込んでいる。