何故、微生物を管理しなければならないのか、管理すべきことか、管理できるのか: Ⅳ.感染症発生および食中毒発生の条件(その1)

摘要

本シリーズではこれまで微生物によって引き起こされる健康被害をどのように防ぐかということを目的として、微生物とヒトとの関わりを中心に紹介してきた(本誌31卷5号)。それらの微生物による健康被害が発生する場合、感染症として微生物の種類ゃヒトに対する健康被害の程度の差やその対策としてわが国で行われている法的規制についても紹介してきた(本誌31卷6号-32卷4号)。その取り扱いはわが国での対策は大きく食品とその他に分けられ、これは法的にも区別されている。すなわち、食品を介して発生する微生物による健康被害は食中毒として扱われ、食品衛生法によって処理されるのに対し、それ以外の媒介物質や患者等ヒトから直接微生物が侵入して健康被害が生じる場合などは感染症として取り扱い、感染症法という異なる法律で対処されている。わが国での食中毒と感染症の実態や発生の現状については前報でも紹介したとおりである。