洞穴の糞に生えるァォカビ

摘要

この10年ばかり、私は石灰岩地帯の山肌や 森林の土壌に生育するカビを調査している。第 4話で紹介したように、アルカリ性の石灰岩帯 ではユニークな植物が見られるのと同様に、力 ビでもユニークなものが見つかるのではない かと期待している。石灰岩帯では、水の浸食によってできた大小 の鍾乳洞がしばしば見られるが、洞内について も力ビの菌相を調べるようになった。カビにと つては、陽が当たるか否かは大きな問題ではな いはずだ。土壌の性質がカビの生育に影響する なら、洞内でも洞外でも同じカビが生えるに違 いない。ただ、洞内は光合成ができないので、 カビの栄養になる有機物が少なく、洞内の土か ら分離される力ビ数は非常に少ないようだ。一 方、洞外では見られないユニークなカビがしば しば見られた。