部分的に高強度した鉄筋を用いた鉄筋コンクリート柱梁部分架構の耐震性能評価（その５ 十字形柱梁部分架構の実験結果）

摘要

柱梁曲げ強度比を基準試験体MA-1 の1.6 より2.7 に大きくした一体打ち試験体MA-5 と柱に中段筋を配筋した試験体MA-7 は基準試験体と基準試験体MA-1 を比較すると，層間変形角R=3％までは梁の変形量が大きかったが，その後の大変形時に柱梁接合部に損傷が顕著だったため，基準試験体MA-1 と差異がなかった。強度境界位置を0.5Dとした試験体MA-6 と基準試験体を比較すると，MA-6 は梁の耐力を発揮できず基準試験体より脆性的な破壊形式であった。このことから一体打ち試験体MA-5，MA-6，MA-7 は，R=2％までは梁降伏型のヒンジリロケーションの傾向であったが最大耐力後の大変形時には接合部の変形量が増大していることから最終破壊性状は明瞭な結果が得られなかった。プレキャスト試験体MA-8 は変形成分からも一体打ち試験体よりも同等以上の性能があった。