北野天満宮の輪蔵堂に関する復原研究:「北野社建築図」をめぐって

摘要

北野天満宮は京都の西北に位置し、菅原道真の御霊を鎮めるため創建された神社である。応永20 年(1411) に、足利義満が発願した北野一切経を奉納することをきっかけとし、輪蔵堂が創建され、明治期神仏分離の際に北野天満宮より撤去され、内輪蔵だけが愛媛県瑞応寺に移築された。さらに、当例輪蔵を舞台とした謡曲「輪蔵」も創出された。つまり、北野天満宮の輪蔵堂は、神仏習合形態の建築的特徴が示される一つの好例と考えられる。