群馬県桐生市における大谷石造ノコギリ屋根工場の構成と増改築栃木県宇都宮市を中心とする大谷石建造物に関する研究(17)

摘要

群馬県桐生市では織物産業が盛hであり、明治期から昭和初期にかけて多数のノコギリ屋根の工場が建てられた。それらの多くは木造であるが、中には栃木県宇都宮市で産出する大谷石を用いて建造された工場があり、栃木県の大谷石産業と群馬県の織物産業という両毛地域での産業の関連が見られる注)( 図1)。ノコギリ屋根工場については、保存活用に向けた構法や歴史等の調査がされている文2) が、大谷石建物としての意匠や空間構成については明らかになっていない。そこで本研究では、大谷石造のノコギリ屋根工場および敷地内外にある建物の配置と、活用による増改築の変遷を明らかにする。