熊本地震応急仮設住宅団地における集会施設「みhなの家」の屋外空間の構成に関する研究

摘要

熊本地震によって建設された応急仮設住宅団地（以下、仮設団地）は熊本型デフォルト（以下、熊本型D）という独自の初期条件に基づいた計画がなされた。特に、ゆとりをもたせた配置計画や集会施設（以下、「みhなの家」）整備にみられるように共有空間への配慮が特徴的である（図1）。「みhなの家」には、住戸数に応じた設置基準のもと、標準設計による規格型と入居者とのワークショップを伴い設計される提案型の2 つの建設方法が設けられている。配置図4）を元に各仮設団地における「みhなの家」を比較すると、仮設団地規模や敷地形状、立地環境への対応から様々な配置の実態をみることができる（表１）。また「みhなの家」の近傍に注目すると、小さな広場と共に配置するといった理念的な設定が実現されていない事例もみられる。標準設計に基づく規格型といえど、広場や街路などの隣接する屋外空間との関係によって、それぞれ固有の性格を有していると推察できる。さらに提案型では、軒の出や縁側などの半外部空間の建築化によって多様な屋内外の関係が形成されている。こうした「みhなの家」近傍の屋外空間の構成は、被災者が集う場としての空間の性格に大きく影響すると考えられる。そこで本研究では、規格型・提案型双方における「みhなの家」の屋外空間の構成を比較・整理することで、様々な試みがなされた熊本型D の成果と課題、自然災害に対する今後の仮設団地整備指針に対する視座を与えることを目的とする。