陶磁器の流通・販売手法からみた中国陝西省堯頭村の窯業再生に関する研究

摘要

現在中国の多くの集落では、伝統的集落の保護に対して農業や手工業などの無形文化遺産としての生業の価値を見直されている。生業の維持という観点からは、伝統工芸品の販売・流通、日常生活での使い方も考えていく必要がある。中国陝西省澄城県の堯頭鎮にある堯頭村は伝統的な窯業によって繁栄し、陶磁器の流通によって賑やかな歴史町並みが形成された。また窯業と関連する社会関係、生活スタイル、有形・無形の文化遺産も集落で世代に継承されてきた。しかし、現代の生活スタイルへの変化とともに、陶磁器の需要が減って、伝統的な形態での窯業はほぼ消失した。窯業の再生と窯業に関連する集落の保護のためには、陶磁器の流通を再生させることが重要だと考える。これを踏まえ本研究では、堯頭村を対象地とし、伝統的な窯業の一環としての流通・販売に着目し、文献調査、ヒアリング調査、実地調査２）を通して、１）伝統的窯業の流通・販売の方法の把握　２）残存する８箇所の窯元の現状として、位置、経営形態、宗族との関係、行政との関係、生産品の特徴（種類・割合）を明らかにする　３）現在の流通の方法を明らかにすることの3 点を目的とした。