編集後記

摘要

3月7日に終了する予定だった緊急事態宣言がさらに2週間延長されると決まったあとのころ、都内で行われた試写会へ招かれて観に行きました。『美しき誘惑』(5月14日ロードショー)という映画でしたが、題名から連想するような甘い恋愛ストーリーといった内容ではありませh。それには副題が付いていて"現代の「画皮」"とありました。実は怖ーいお話しだったのです。画皮は古代中国の伝奇物語の中に出てきます。妖魔が美女の皮を被って男をたぶらかすのですが、この美女を描いた人間の皮を「画皮」と呼ぶそうです。唐の玄宗皇帝を虜にした楊貴妃に取り憑いたのが最強の妖魔「九尾の狐」といわれていますが、この映画では将来の総理大臣にと嘱望される青年に妖魔(九尾の狐)の取り憑いた美女が近づき誘惑します。彼女の目的は、この国を亡ぼすことだったのですが…。結末は措くとして、中国では国を亡ぼす"傾国の美女"の話として『史記』『三国志』『十八史略』などに逸話が数多く登場します。ところで妖魔の言葉の中にも"女"が入っていますが、昔から男は女性に虞を抱いていたのでしょうか？改めて漢和辞典を調べてみると「女部首」の何と多いことか！ざっと数えて200以上もありました。それに比べて「男部首」は"男"一つだけです。関係ありそうな漢字を探しても辛うじて"慮""嬲"くらいしか見あたらず、少々残念です。漢字の世界は「女性優位」なのに、いま世間は「女性蔑視」の問題を巡って男女差別論争が止むことはありませh。とはいえ、この話に下手にロを挟むと手ひどいしっべ返しを受けるご時世ですから、舌禍という妖魔に狙われないよう十分にご注意を。