シリーズ温故知新—技術の原点を求めて日本無線電信史: 日本初期の無線電信<その7>

摘要

英国の花園と称せられるコーンウォール州の西端リザードには、マルコーニの無線電信所が建設されて、海峡を通過する船舶と通信を保ちつつあつたが、明治34(1901)年1月にはマルコーニ氏はその近傍ポルドゥーに広大な建築を始めた。初め世人は好奇の眼を見はったのであったが風説には3か月以内には、この地に米国との間に大西洋横断無線電信の商業的通信を開始し、その電報料は1語僅かに2ペンスである等の記事が地方の新聞に出たものである。そしてその年の8月にはそこに20本の電柱が高く雲際にそびえ、いずれも220フィートの高さを有して、円形に配列され、その占める面積は優に1エーカーに余り、海面から望見すれば、300フィートの岸上に屹立して、その側には壮大な夏期旅館も出来、風景の美観を極めたものの由である。