ダムの治水機能をより効果的に発揮するための運用方法:アンサンブル予測雨量のダム洪水調節操作への適用

摘要

この原稿は，猪股ほか(2015a)及び猪股(2016)を修正·一部加筆して作成したものです。 気候変動に伴って世界的に豪雨が強大化する可能性については，現在までにIPCCレポートやその他の研究において多く指摘されており，日本国内を対象とした既往検討においても気候変動に伴って豪雨の規模が増大する可能性が示唆されている(柏井ら，2008)。豪雨の規模が増大化する可能性が高い一方で，適応策として既存施設の能力をできるだけ幅広く引き出すことがコストや早期効果発現の面で極めて有効であり(社会資本整備審議会，2008；社会資本整備審議会，2015)，治水におけるダムのストック効果向上の一環として既設のダムにおいて洪水調節操作方法を高度化することにより従来以上に洪水調節効果を発揮させることが求められている。