ダム再開発工事における洪水吐増設時の仮締切設備合理化を実現仮締切としての機能を持つ予備ゲート設備の製作•施工

摘要

近年，既設ダムを有効活用し，治水•利水機能を強化するダム再開発事業が脚光を浴びている。ダムを運用しながらの施工が求められるため，堤体上流面に仮締切を設置し，その内部の水を抜くことでドライな環境を確保して各種作業を実施する場合が多い。従来の仮締切は，支持仮構や台座コンクリート上にチャンネル型の扉体を設置する方式が主流となっている力本工事では，本設の予備ゲート設備を先行設置し，既設堤体切削時の仮締切として利用する新たな施工方法が採用されている。本設の構造物を仮締切として利用することで，大規模堤体切削の際に，大きな仮設備を設ける必要がないため，工期とコストの両面において仮締切の合理化が図られた。本稿では，改造事業の一環である洪水調節容量増強を行う施設改造工事のうち，予備ゲート設備の設計•製作と一連の施工方法について紹介する。