入札契約制度のイノべーション

摘要

我が国の公共工事における入札契約制度は、この20年の間に大きな変化を遂げた。指名競争入札から一般競争入札へ舵を切るとともに、VE(ヴァリューエンジニアリング)方式、CM(マネジメント技術活用)方式や設計施工一括発注方式の導入、さらに総合評価方式の導入が図られてきた。これらは、この間に発生した談合問題、コスト縮減、品質確保や低入札問題等にそれぞれ対応するために当初は導入された制度である。また、東北地方の復興事業においては、急激に増大した事業を早期に実施するため、事業の上流段階に民間の技術力を導入する制度やアットリスク型のCMとコストプラスフィー方式等を組み合わせた制度等が試行されている。公共事業を実施する現場で発生するニーズに対応して、新しい制度は生み出されるものである。現在、インフラ施設の維持管理の問題に対応するために、維持管理事業を持続的に、確実に、且つ効率的に実施可能な入札契約制度の検討が始まっている。