刀を磨く研究から斬る研究へ

摘要

以前，文部省の特定研究のセキュリティの発表の場で，いろいろな若手の研究を聞く機会があり，それは意義のある討論の場でありました.そこで気づいたことの一つが，この巻頭言のタイトルでした.若手の研究者の傾向として，セキュリティの研究は理論をつくることに興味があり.実際の応用についてはあまり考えていないようでしたので，筆者は，よく次のような質問をしたと記憶しています."あなたの研究は刀を磨く研究ですが，それを使ってなにか斬りましたか"と.セキュリティは理論だけでなく，実際の安全性を確保するということが大切です.この特定研究は10年前の話ですが，現在のサイバー戦争を先駆けての課題にも繋がっています.ですから実際のセキュリティをどうするかというのは，そうした理論的な基礎をもとにどのように対策をするかという問題につながり，そうした対策がないとこのサイバー戦争に対応できないと思えます.専門家が会議から問題を解決するような性質ではないといえます.