日本の技術と国際展開

摘要

産業分野の国際展開の議論の基本は，歴史認識にあるはずである。バブル最盛期に日本語訳が刊行されたポール・ケネディの著書「大国の興亡」で，彼は「国際的バランスは決して静止した状態にはなりえない」，「大国の経済成長の速度の差が，相対的な関係のなかで，それぞれの国の興亡を決定するのである」。そして，「昔ながらの興亡のジレンマに取り組み，生産力が成長する速度の変化，テクノロジーの革新，国際情勢の推移，兵器コストの急騰，力のバランスの変化に対応しなければならないのである」と語る。建設産業の国際展開においても，変化し続ける世界の建設市場と建設技術の革新に対応する空間的・時間的視座が不可欠である。