スクワイア•ストーリー: 少年の夢

摘要

私が"走っている"スクワイアを目撃したのは、今から10年ほど前のことであった。それは、イギリス人ジャーナリストのMに連れられて、夏の英国で開催されていた大規模なヴィンテージカーイベント会場を見て回っていたときのことだ。コース上で走行を待つ、1台のやけに姿勢の低い赤いヴインテージ•スポーツカーがそこにあった。私が「あ、スクワイアだ」と口にすると、彼は「(君にも)わかったのか。イギリスでもめったに見ないから、君はラッキーだな」そういって笑った。「アメリカでも水色のクルマを見たことがあるから、これか2回目の経験だ」と私が言い返すと、「オレは運転したことがあるぞ。スクワイアは1930年代のイギリスが生んだ最良のスポーツカーと評されているんだ……」といった。「本当だろうか」と私。千載一遇の機会なので、カメラを向けると、その小さなスポーツカーは快音を発して走り去ってしまい、それ以降、広い会場で巡り会うことはなかった。