横浜ベイブリッジ　鶴見つばさ橋

摘要

横浜ベイブリッジは，1989年に開通した横浜港の玄関口に架かる全長 860mの3径聞達続鋼トラス斜張橋である．鶴見つばさ橋は，1994年に開 通した全長1020mの一面吊り3径聞達続鋼斜張橋である．両長大橋は， みなと横浜のシンボルとして，その優美な姿が多くの人々に親しまれて いる． 耐震設計は，当時としては最新手法で行われていたが，1995年の 兵庫県南部地震以後，耐震基準が見直され，レベル2地震動に対す る耐震補強が実施された． 吊構造形式の長大橋は，長周期構造物であるということと，ある 損傷が起点となって別の損傷を引き起こすというような連鎖現象が 現れる特徴がある．特にこれらの点に留意し，橋梁・耐震・地震工 学等の技術の粋を集めて，耐震性能評価および補強設計が慎重にな された結果，耐震補強後にもその優美な姿が保たれた． 横浜ベイブリッジでは，耐力が不足している端橋脚は耐力を増す 補強を，回避できない損傷に対しては落橋防止システムの機能を向 上させる補強を基本として，桁端のアップリフト防止ケーブルの追 加，および隣接橋の落橋防止を向上させる補強等が行われた． 鶴見つばさ橋では，耐力が不足している主塔基部のSRC構造部は 耐力を増す補強を，変位量が過大になる支承部は移動余裕量を確保 する補強を行い，回避できない大きな桁端変位に対しては，隣接橋 の落橋防止を向上させる補強等が行われた． わが国における吊構造形式の長大橋を対象としたレベル2地震動 に対する耐震補強の先駆けとなるものである．